コウモリと言えば、一般的には昆虫や果物などを食べている事で知られていますが、チスイコウモリモドキと呼ばれるこのコウモリは肉食で、鳥や齧歯類、更には別のコウモリまで獲って食べることで知られています。
大きさはカラスほどで、狩りは反響定位(音波を発して獲物の位置などを特定する行為)で行い、獲物に近づくと超音波がほかのコウモリや一部のげっ歯類にヒントを与えてしまうためか、超音波を発するのをやめて獲物が発する音を頼りにしているそうです。
メキシコ南部からブラジルまで広く分布していますが、その数は少なく、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは近危急種(near threatened)に分類されています。
コウモリは一般に給餌をしませんが、メスのチスイコウモリモドキが子供とねぐらにいるとき、オスがげっ歯類などの獲物を運んでくる姿などが観察されており、意外と子煩悩なコウモリのようです。
研究では、一部の肉食コウモリは縄張りが重複しており、肉食コウモリの有無がほかのコウモリの行動に影響すると考えられているようです。
例えば、チスイコウモリモドキとウーリーヘラコウモリはどちらも、木の空洞をねぐらにすることを好みますが、どちらも生息する地域では、ウーリーヘラコウモリは洞窟や遺跡、排水溝をねぐらにする傾向があり、チスイコウモリモドキのいない生態系では木の空洞に戻って来ることが知られていて、チスイコウモリモドキの縄張りでは、ほかのコウモリたちは身の安全を守るために行動を変化させているのではないかと考えられています。食べられては堪まらないので、他のコウモリたちはチスイコウモリモドキに遠慮している、ということなのでしょうか。
動画は小さなコウモリが、このチスイコウモリモドキに捕食されているシーンです。
なかなかにショッキングな映像なので、視聴される方はご注意ください。