英イングランド東部ケンブリッジシャー州のフェンスタントンで、踵にクギの刺さった男性の骨が見つかったことが明らかになりました。考古学者は、欧州北部ではりつけの刑が行われていたことを示す初の例だと見ています。
フェンスタントンはローマ時代の街をつなぐ道路に面した位置にあり、一帯には鉄器時代の遺跡も複数存在。専門家によると、少なくとも6万平方メートルに広がるこの集落は、ローマ時代後期の1世紀もしくは2世紀初頭に建設されたとみられています。
調査の結果、48人の遺骨が収められた墓地5カ所と少数の孤立した埋葬地を発見。この中にかかとにくぎが刺さった25~35歳の男性の骨がありました。
この骨の周辺では計12本のクギが見つかっており、専門家は、男性が板かひつぎ台の上に乗せられたことを示すものと見ています。最後のクギは男性の右の踵を水平に貫通していました。
この発見で、考古学者らは「遺体にクギが偶然刺さった可能性は考えにくいと思われる。最初に骨を突き刺そうとして失敗したことを示す2つ目の浅い穴の跡もある」と指摘。この男性が磔にされたことを示す決定的な証拠とすることはできないが、それが唯一ありそうな説明だと述べました。
専門家によると、骨に刺さったクギが残っている例はこの一つのみで、イタリアやエジプトでも同様の穴が空いた骨格が見つかっているものの、クギは存在しませんでした。
研究チームによると、ローマ時代にははりつけの刑が比較的多く行われていたが、十字架にかけられる犠牲者はクギで打ち付けられるのではなく、紐で縛り付けられることが多く、クギを使う場合も後で外すのが普通だったということで、貴重な発見となりました。